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iBasso Jr. Macaronは買い?大人気実力派ミニDACの音質・使い勝手を徹底レビュー!

スマホで聴く音楽、もっと良くできるって知ってましたか?

「もっといい音で音楽を楽しみたい」「バランス接続してみたい」そんな時にまず思いつくのは、音質を底上げしてくれるDAC(デジタル・アナログ・コンバーター)やポータブルアンプです。

今回はそんなミニDACの中でも大人気の、見た目はかわいいマカロン型、でも中身は本格派のポータブルDAC「iBasso Jr. Macaron」をレビューしていきます!

この記事では、実際に使ってみた感想をもとに、音質・使い勝手・デザイン・相性の良いイヤホンなどを徹底レビュー。オーディオ初心者からライトユーザーまで、幅広い層におすすめできる理由を解説します。

スマホで“いい音”を楽しみたい人にとって、きっと参考になるはずです。

製品概要とスペック

項目内容
製品名iBasso Jr. Macaron
タイプポータブルDAC/AMP
接続端子USB Type-C(スマホ・PC対応)
対応音源最大32bit/384kHz、DSD256対応
出力端子3.5mmステレオミニジャック
対応OSAndroid、Windows、macOS(iOSは要変換)
カラー展開シルバー、ブラック、ピンク、ブルー
サイズ約38mm × 38mm × 12mm(マカロン型)
重量約12g
価格帯約9,400円〜10,400円(税込)
  • バランス出力対応:4.4mm端子搭載で、対応イヤホン・ヘッドホンのポテンシャルを最大限に引き出せます。
  • 高出力設計:280mW(32Ω)という出力は、ミニサイズながら中〜高感度のヘッドホンも十分に駆動可能。
  • 専用アプリ「iBasso UAC」:Androidで使用すれば、フィルター切替やゲイン調整など細かな音質チューニングが可能。

かわいい見た目に本格スペックを搭載

iBasso Jr. Macaronは、手のひらサイズのマカロン型デザインが特徴的なポータブルDAC/AMPです。見た目のかわいさとは裏腹に音質面では本格的なスペックを備えており、オーディオ初心者からライトユーザーまで幅広く支持されています。

最大の特徴は4.4mmバランス出力に対応していること。対応イヤホンやヘッドホンのポテンシャルをしっかり引き出してくれます。

最近はこのサイズでもバランス接続ができる製品が増えてきましたね。出力も最大280mW(32Ω時)と高く、一般的なイヤホンはもちろん、中〜高感度のヘッドホンも十分に駆動可能です。

また、Androidユーザー向けには専用アプリ「iBasso UAC」が用意されており、フィルター切替やゲイン調整など、細かな音質チューニングが可能。スマホとの親和性も高く、USB-C接続で挿すだけの簡単運用が魅力です。

対応音源は最大32bit/384kHz、DSD256までカバーしており、ハイレゾ音源も余裕で再生可能。カラー展開はシルバー、ブラック、ピンク、ブルーの4色で、好みに合わせて選べるのも嬉しいポイントです。

価格帯は約9,400円〜10,400円(税込)と、バランス出力対応DACとしては非常にコストパフォーマンスに優れたモデルと言えるでしょう。

外観と付属品

iBasso Jr. Macaronは、パステルブルーの缶ケースに収められており、見た目はとてもおしゃれ。缶のサイズもコンパクトで、持ち運びにも便利そうな印象です。

ただし、開けてみると中身はウレタンでギッチギチに梱包されていて、取り出すのにちょっと苦労するレベル(笑)。使うたびに出し入れするには少し面倒で、収納性という点では惜しい部分もあります。

とはいえ、製品自体の保護という意味では安心感があり、輸送中のダメージを防ぐには理にかなった設計とも言えます。見た目のかわいさと実用性のバランスをもう少し取ってくれたら、さらに満足度が高かったかもしれません。

付属品は15cmのUSBケーブルのみです。

音質レビュー!サイズからは想像できない、立体的なサウンド

iBasso Jr. Macaronを実際に使ってみてまず驚いたのは、圧倒的な透明感。そして音の立体感と分離感の良さ。

スマホ直挿しでは埋もれていた細かな音が、Macaronを通すことでしっかりと浮かび上がり、空間の広がりを感じられるようになりました。

バランス接続 vs アンバランス接続

4.4mmバランス接続では、音の輪郭がよりシャープになり、定位が明確になります。左右の分離が良く、ライブ音源やクラシックなどでは「その場にいるような感覚」が強まります。

一方、3.5mmアンバランス接続でも十分に高音質ですが、比較するとやや平面的で、音の厚みや奥行きはバランス接続に軍配が上がります。

音の傾向と質感

  • 低音:量感は控えめながら、タイトで締まりのある低域。ベースラインがぼやけず、リズムの輪郭がくっきり。
  • 中音:ボーカルが前に出て、息づかいやニュアンスがよく伝わる。特に女性ボーカルとの相性が良好。
  • 高音:刺さりにくく、滑らか。シンバルやストリングスの余韻が自然に伸びる印象。

全体的にニュートラル寄りで、モニターライクな音作り。派手さはないものの、情報量が多く、音源の良し悪しが素直に出るタイプです。

使用イヤホン・ヘッドホンとの相性

今回の試聴では以下の機種を使用しました:

  • Moondrop Blessing 3(4.4mmバランス)
    → 分離感と空間表現が際立ち、Macaronの実力を最大限に引き出せる組み合わせ。中高域の解像度が特に優秀。
  • Final E500(3.5mmアンバランス)
    → 音場はやや狭くなるが、ボーカルの質感はしっかりと向上。エントリー機でも違いが体感できる。
  • Sennheiser HD599(3.5mmアンバランス)
    → 駆動力はギリギリ。音量は取れるが、低域の厚みやダイナミクスはやや物足りない印象。

Macaronは高感度イヤホンとの相性が特に良く、バランス接続を活かせる構成なら、価格以上の音質体験が可能です。

専用アプリ「iBasso UAC」の操作感。意外と便利、でもちょっと惜しい~

iBasso Jr. Macaronは、Android向けに専用アプリ「iBasso UAC」が用意されており、DACの設定を細かく調整できます。アプリを使うことでフィルター切替(デジタルフィルター)やゲイン調整(Low/High)が可能になり、音のキャラクターを自分好みに寄せることができます。

これがアプリの画面と私のセッティングになります。この猫耳キャラはiBasso Jrラインナップイメージキャラクターの「Niko」です。キャラ変更はできないみたい、残念。

操作感と使いやすさ

アプリのUIはシンプルで、設定項目も少なめ。初めて使う人でも迷わず操作できる設計になっています。

フィルターは数種類から選べて、微妙な音の違いを楽しめるのが面白いところ。ただし、リアルタイムで音が変化するわけではなく、切り替え後に再生し直す必要がある点は少し不便に感じるかもしれません。

ゲイン調整は、高感度イヤホン使用時のホワイトノイズ対策や、音量不足の補正に役立つ機能。Lowゲインでも十分な出力があるので、普段使いではLowで問題ないケースが多いです。

音質を向上させるちょいテクですが、スマホの音量を最大にして、DAC側で音量調整をするとS/N比(ノイズの比率)を抑えることができるのでぜひ試してください。

注意点

  • アプリはAndroid専用で、iOSでは使用不可(Macaron自体は使えるが設定変更は不可)
  • 一部のAndroid端末では認識されない場合があるので、事前に対応状況を確認しておくと安心

接続ケーブルによる音質の違いを検証してみた

DACの性能だけでなく、接続ケーブルによっても音質が変化するのか?そんな疑問から、iBasso Jr. Macaronに使用するUSB-Cケーブルを3種類で比較してみました。

使用したのは以下の3本

  • 左)iBasso純正ケーブル(付属品)
  • 真ん中)5万円クラスのオーディオインターフェースに付属していたケーブル
  • 右)Amazonで購入した千円程度の中華製ケーブル

まず純正ケーブルは、低域が落ち着いていて全体的にクリアな音質。音のバランスが良く、Macaron本来のニュートラルな傾向をしっかり引き出してくれる印象でした。

オーディオインターフェース付属のケーブルでは、中低域に厚みが増し、音に力強さが加わるような変化がありました。ロックやポップスなど、グルーヴ感を重視するジャンルでは好まれるかもしれません。

一方、中華製ケーブルは意外にも悪くなく、音に余裕ができてゆったりした雰囲気に。気分によって使い分けたいところ。

最終的には、純正ケーブルが最も音のバランスが良く、Macaronの素直な音作りを活かせると感じました。ケーブルひとつでここまで変化があるのは驚きで、音質にこだわるなら接続ケーブルにも目を向ける価値は十分にありそうです。

まとめ “かわいい”だけじゃない、実力派ミニDAC

iBasso Jr. Macaronは、見た目のかわいさに目を引かれがちですが、実際に使ってみると音質・機能・使い勝手のすべてにおいてしっかり作り込まれた実力派であることが分かります。

特に印象的だったのは、4.4mmバランス出力による立体的な音場と、100段階の物理ボリュームボタンの使いやすさ。スマホ直挿しでは味わえない繊細な音の表現や、手元での細かな音量調整ができる快適さは、日常使いでも大きなメリットです。

専用アプリ「iBasso UAC」を使えば、フィルター切替やゲイン調整も可能で、音のキャラクターを自分好みにチューニングできるのも魅力。Androidユーザーには特におすすめです。

もちろん、缶ケースの収納がややギチギチだったり、iOSでの使用にひと工夫が必要だったりと、惜しい部分もありますが、それを差し引いても価格以上の満足感が得られる製品だと感じました。

「スマホで音楽をもっと楽しみたい」「有線イヤホンの良さを引き出したい」そんな人にとって、Macaronは手軽に音質を底上げしてくれる頼れる相棒になるはずです。