機材レビュー

Antelope Audio Discrete 4 ProをDTMで使ってみた徹底レビュー!音質は最高、ソフトは落とし穴…!?

オーディオインターフェース選びで迷ったとき、最終的な決め手になるのは「音質」ではないでしょうか。スペックや価格も大事ですが、実際に耳に届く音がどう変わるかが機材選びの楽しいところですよね。

十万円を超えるような高級オーディオインターフェースを選ぶ際には、音質だけじゃなく、それ以上に機能性やソフトウェアの完成度がかなり重要です!安定したドライバ、直感的な操作性、そしてトラブル時のサポート体制まで含めて、総合的な信頼性は絶対に無視してはいけないところ。

この記事では、Discrete 4 Proの音質を中心に、実際にあったトラブルや注意点などをレビューしていきます。気になっている方の参考になればうれしいです。

はじめに:スペックなど

項目内容
接続方式USB 2.0 / Thunderbolt 3
AD/DA変換最大 192kHz / 24bit
ダイナミックレンジ最大 130dB(AD/DA)
マイクプリアンプ4基(6トランジスタ構成のディスクリート回路)
入力数14 IN(アナログ+デジタル)
出力数20 OUT(アナログ+デジタル)
ヘッドホン出力4系統(独立ルーティング可能)
デジタルI/OADAT ×2(最大8ch)、S/PDIF ×2(最大2ch)
クロック技術64bit AFC™(Acoustically Focused Clocking)
DSP構成1×FPGA + 2×DSPチップ(Synergy Core FX用)
ルーティングバーチャルパッチベイ+4系統のステレオミキサー
Loopback機能あり(配信・録音に便利)
対応OSWindows / macOS
MIDI I/Oなし
サイズ・重量非公開(公式サイト参照)

価格の割に、音質がいい。マイクプリが4ch。ヘッドホンアウトが4ch。デジタル入出力も豊富。そして、ハーフラックサイズで見た目がかっこいい!

少し前に、違う機種だけど発売直後から不具合がバンバン見つかって、それに対してメーカーの対応が悪すぎて炎上していたのは知っていたのですが、不具合も修正されて対応もましになったとのことから思い切って購入してみました。音と機能性からみれば破格で、替えが見つからないのが現状なんだよね。

導入と初期設定の体験

で、実際に導入してみたのですが。。。

最初はPCが認識してくれなくてめちゃくちゃ焦りました。調べたら、認識するまで根気よく再起動しろとのことだったので涙目になりながらリセマラ。4回目で何とか認識しました。

導入自体はAntelope Audio公式が公開している日本語の初期設定動画のおかげで、比較的スムーズに進めることができます。USB接続後、Antelope Launcherをインストールし、ファームウェアのアップデートやデバイスの認識までの流れは、動画の手順通りに進めれば問題なく完了できました。

キャンペーン付属ソフトが未付属 → 問い合わせで入手

導入時にひとつ困ったことがあって、購入時のキャンペーンで付属するはずだったソフトウェアが同梱されておらず、Antelope Audioの公式サポートに問い合わせました。サポートの対応は丁寧かつ迅速で、購入元などを証明したら無事にアカウントに紐づけてもらってソフトウェアを受け取ることができました。こうした細かなトラブルは高価格帯の製品としては少し残念に感じる部分でもありますね。

Antelope Launcherの起動はかなり遅いです、コントロールパネルの操作も直感的とは言い難い。。。特に初期状態のルーティングだと音が出ないという優しくないセッティングになっていて、音が出るようになるまでに何度もマニュアルや動画とにらめっこ。

うーん、終わってみたら導入のハードルは決して低くはないと思うけど、導入の手間は覚悟しておくべきというのが率直な印象でした。

音質レビュー!暖かくて高解像度

マイクプリアンプ

マイナスな面を先に書きましたが、Discrete 4 Pro Synergy Coreの最大の魅力は、やはりその音質!マイク入力からライン出力まで、入出力ともに非常にクリアで、音の輪郭がしっかりと感じられる。録音時には、プラグイン無しの素の音でも芯が太く、どこかアナログ的な暖かさを感じさせながらも、細部のニュアンスまでしっかりと捉えてくれる。

他社製品と比較しても、「暖かさ」と「解像度の高さ」のバランスが非常に優れていると感じます。たとえば、Apollo SoloやMOTU M4などと比べても、Discrete 4 Proは音の立体感や奥行きが一段深く、ミックス時の定位も明瞭。特にボーカルやアコースティック楽器の録音では、その違いが顕著に現れる、いい意味でAntelope Audioらしさがあります。

この価格帯のインターフェースに求められる「プロクオリティの音質」は、間違いなく満たしていると言っていいでしょう。音に関しては、信頼できる選択肢だと言えます。

スピーカーアウト

使用スピーカー(IK MULTIMEDIA iLoud MTM MKII Pair)

最初に聞いた印象は音像が前に出てくるような力強さがあって非常にモニタリング向けだと思いました。低域の厚みと中域の密度がしっかりしていて、音楽的に心地よく聴けるバランスでこちらも温かみがある音です。ラインアウトに比べると、わずかにウォームなキャラクターが加わっているように感じられて、これは制作中のリスニング環境では好みがわかれるところがあるかと。ステレオイメージは広く、パンニングや定位の確認は問題なし。

スピーカーアウトは「音楽的なモニタリング」にそれぞれ最適化されている印象です。制作とリスニング用途に応じて使い分け、Discrete 4 Proの持つポテンシャルを最大限に活かすのもありですね。

ヘッドホンアウト

Discrete 4 Pro Synergy Coreのヘッドホンアウトは、4つもの独立出力可能!複数人でのモニタリングや用途別の出力設定にも柔軟に対応できるのはいいですね。いろんな使い方ができそう。

実際に使用してみると、出力のパワーが十分にあり、インピーダンスの高いヘッドホンでも問題なく駆動可能でした。

音質はすんごくいい。非常にクリアで解像度が高く、定位も明瞭。低域は量感がありつつもタイトで過度に膨らむことなく、中高域は滑らかで耳に刺さらない。録音時のモニタリング、ミックスはもちろん、リスニングでも最高。DAC用途としても同価格帯と十分張り合える音質です。

気になったことといえば、ラインアウトやスピーカーアウトと比べると、若干音像が近く感じられる傾向。ほんとに若干ですが。とはいえ、音の輪郭やニュアンスはしっかりと伝わってくるため、細かな編集作業にも安心して使える出力だと言えます。

また、各ヘッドホンアウトはソフトから独立したルーティングが可能!用途に応じたモニター環境を構築できる点も大きなメリット。複数人でのレコーディングで便利ですね。クリックとメインミックスを分けて出力するようなことが可能でした。

まとめ

Antelope Audio Discrete 4 Pro Synergy Coreは、音質だけを取ればDTMerにとって非常に魅力的なオーディオインターフェースだと思います。

入力・出力ともに高い解像度と暖かみのあるサウンドを実現しており、録音からミックスまで、音楽制作のあらゆる場面でプロクオリティだと思います。

ラインアウトはフラットで精密な音を出力し、スピーカーアウトは音楽的で力強いモニタリング。特にヘッドホンアウトがすごく良かったです。高品位で、細かな編集作業にも問題なく使える音です。

一方で、導入時の設定やソフトウェアの操作性には注意が必要!Antelope Launcherの起動が遅く、ルーティング設定も直感的とは言い難い。。。初期状態では音が出ない設定で初心者にはハードルが高いので、注意が必要です。また、キャンペーン特典のソフトウェアが未付属だったり、PCが機器を認識しない不具合が時折発生するなど、安定性の面ではまだまだ改善の余地がありそうです。

とはいえ、炎上事件から一新、サポート対応は丁寧かつ迅速で、問題が発生しても安心して相談できる体制が整っていると思いました。音質を最優先に考えるユーザーにとっては、多少の不便を差し引いても十分に価値のある製品ではあります。

とは言え、この価格でこの性能は替えが見つからない唯一無二なので、Antelope Audioの今後のユーザー体験の向上に期待しましょう!

以上です。