「ハイレゾ対応」「高音質」──そんな言葉を耳にすると、数千円〜数万円のオーディオ機器を思い浮かべる方も多いはず。実は100均でおなじみのあのダイソーにも“ハイレゾ対応”を謳う有線イヤホンが複数登場し、オーディオ好きやコスパ重視派の間で密かに話題になっています。
330円〜550円という驚きの価格帯で、果たしてどこまで“高音質”を実現できているのか?
今回は、実際に4機種を購入・試聴し、それぞれの音質や使い心地を徹底比較レビュー。
「どれを選べばいい?」「本当に使えるの?」という疑問に、体験ベースでお答えします。
比較対象:ダイソーのハイレゾ・高音質有線イヤホン4機種
今回は10種類以上あったダイソー店頭からジャケットをみてキャラクターが違いそうなこちらの4種類を購入してみました。

| 番号 | 商品名(仮称) | 税込価格 | 特徴 | リモコンマイク | カラー・デザイン |
|---|---|---|---|---|---|
| ① | 高音質ステレオイヤホン(黒) | ¥330 | ベーシックモデル | あり | 黒・カラフル波形 |
| ② | 高音質ステレオイヤホン(白金) | ¥330 | シンプルモデル | あり | 白×ゴールド |
| ③ | ハイレゾ音源対応イヤホン(白紫・縦型) | ¥550 | Hi-Res AUDIOロゴあり | あり | 白×紫・縦レイアウト |
| ④ | ハイレゾ音源対応イヤホン(白紫・横型) | ¥550 | Hi-Res AUDIOロゴあり | あり | シルバー×ゴールド・横レイアウト |
試聴環境はAndroidスマホと最近導入したiBasso Jr. Macaron(DAC)です。
試聴ジャンル:ロック・ポップス

音質レビュー!
①高音質ステレオイヤホン(黒)330円


パッケージに「迫力のある低音」とある通り、まず感じるのは低音の量感の多さ。ベースやキックが鳴ると一気に空間が埋まり、迫力はあるものの、全体のバランスは崩れがち。特にドラムやベースが入ってくる場面では、音の分離が甘くなり、こもった印象が強くなります。
一方で、ヨルシカの藍二乗を聴いてみると、イントロや音数が少ない静かなパート──たとえばギターのアルペジオやボーカル単体の場面では、意外にも解像度は悪くなく、輪郭もそこそこ明瞭。中音域のボーカルは前に出ていて聴きやすく、相性よき。
- 低音:量は豊富で迫力あり。ただし締まりや制御は弱く、他の帯域を覆いがち。
- 中音:ボーカルは比較的クリア。静かな場面では好印象。
- 高音:刺さりはないが、シンバルは抜けてくる。
- 解像度・定位:静かな場面では健闘するが、音数が増えると混濁しやすい。定位はいいとは言えず、全体的に中央から聞こえ気味。
総評としては、330円でこの音は想像以上、静かな曲や低域が全然無いスッキリした音楽ならなんとか楽しめる。
嘘です。通話用としてお使いください。
あとLRが非常に分かりにくいです。
②高音質ステレオイヤホン(白金)330円


パッケージには「しっかりとした低音」とありますが、実際に聴いてみると“低音の量”というよりも、ベースラインの心地よさ”が際立つ印象。特にピック弾きのベースが使われた楽曲では、アタック感がしっかり伝わり、リズムのノリが良いです。
①(黒モデル)と比べると、音のキャラクターは明確に異なり、②はよりアタックがしっかりした音作り。ただし、ボーカルは①よりやや引っ込み気味で、距離感を感じる場面もあります。
- 低音:ベースの輪郭が明瞭で、アタックも感じられる。量感よりも質感重視。
- 中音:ボーカルは自然だが、①より少し遠く感じる。ギターやピアノは比較的クリア。
- 高音:控えめ。①より抜け感はある。
- 解像度・定位:①よりは音の分離があって混濁しにくい。
総評としては、「330円で“ベースが気持ちいい”イヤホン」という個性が光る一本。
ポップスやロックなど、リズムを楽しむジャンルとの相性が良く、①とは違った魅力があります。
ボーカル重視の人にはやや物足りないかもしれませんが、音のキャラがしっかり分かれているのは意外でした。好みに応じて選ぶ価値ありです。
そしてこちらも非常にLRが分かりにくい。
ハイレゾ音源対応イヤホン(白紫・縦型)550円


価格が330円から550円に上がっただけあって、解像度の向上はすぐに体感できるレベル。音の輪郭が明瞭になり、音場も広がって、ようやく“まともに音楽が聴ける”と感じられるクオリティに。
ただし高音域にはややクセがあり、BUMP OF CHICKENのアカシアではハイレゾ感を演出しようと無理にブーストしたような不自然さを感じる場面も。量は控えめで耳に刺さるとかはなく、イコライザで20kHzを大げさに持ち上げた感じです。
面白いのは、ボーカルにリバーブ感が乗って聴こえる点。空間表現が豊かになったことで音源の残響や奥行きが感じ取れるようになり、臨場感が増しています。ただその分、ボーカルはさらに一歩引いた位置に感じられ、好みが分かれるかもしれません。
- 低音:量感は控えめだが、輪郭は明瞭。過度な膨らみはなく、タイト寄り。
- 中音:楽器の分離が良く、ギターやピアノの細かなニュアンスも拾える。
- 高音:情報量は増えたが、やや不自然な持ち上げ感あり。
- 解像度・定位:明確に向上。音場も広がり、立体感が出てきた。
総評としては、「550円でここまでクリアに聴かせてくれるのは素直に驚き」。
高音のクセはあるものの、「あと一歩なんだよな~」という感じ。
ただし、ボーカルを近くで聴きたい人や、自然な高音を求める人にはやや好みが分かれるかもしれません。
注意点はイヤーピースがかなりデカいこと。
マイクがついているほうが右になります。LR問題は解決!
ハイレゾ音源対応イヤホン(白紫・横型)550円


③(縦型モデル)と同じく、解像度は高く、音の輪郭もクリア。価格帯を考えれば十分と呼べるレベルで、細かな音のニュアンスも拾ってくれます。
ただし、③と比べると音場はやや狭めで、定位感も内寄り。その分、ボーカルが近く感じられ、しっかりと聴き取れるのが特徴です。③で感じたような「ボーカルが遠くなる」印象はなく、ポップスや歌モノとの相性は良好。
また、高音域に関しても③のような“無理やりハイレゾ感を演出したような不自然さ”はなく、自然な伸び方。シンバルやストリングスも耳に刺さらず、バランスよく鳴ってくれます。
- 低音:量感は控えめ。50Hzあたりでハイパスされているような感じ。
- 中音:ボーカルが近く、聴き取りやすい。ギターやピアノも自然。
- 高音:③よりナチュラルで、刺さりなし。情報量も十分。
- 解像度・定位:解像度は高いが、定位は内寄り。音場はやや狭め。
総評としては、「③よりも自然で聴きやすく、歌あり音楽を聴くならこちらがオススメ」。
音場の広さや立体感では③に軍配が上がるものの、音のバランスや聴きやすさでは④が優秀。
550円という価格を考えれば“安くてまともに聴けるイヤホン代表”と言える一本。
まとめ:ダイソー有線イヤホン、なかなかおもしろい
今回比較した4機種は、330円〜550円という超低価格ながら、それぞれに音のキャラクターと個性がしっかり存在していたのはなかなかおもしろかったです。
- ①は低音モリモリで迫力重視。静かな場面では意外と解像度もあり、ポップスとの相性が良好。ただし音数が増えるとこもりがち。
- ②はベースのアタック感が心地よく、リズム重視派におすすめ。①よりスッキリした音作りで、ボーカルはやや遠め。
- ③は解像度・音場ともに明確に向上し、ハイレゾらしい情報量を感じられるが、高音域の不自然なブースト感が惜しい。こちらもボーカル遠め。
- ④は自然な高音と近いボーカルが魅力。③より音場は狭いが、バランスの良さと聴きやすさでは一歩上。

私の好みだとこんな感じでした。参考までに。
もちろん、数千円クラスのイヤホンと比べれば限界はありますが、“100均でここまで聴ける”という驚きと面白さは、オーディオ好きなら一度試してみる価値ありです。
最後に:ダイソーの有線ハイレゾイヤホン、誰が買う?誰に向けて売ってる?
最後に思ったことを書きます。
「ハイレゾ対応」って聞くとオーディオマニアや音質にこだわる層を思い浮かべがちだけどダイソーのハイレゾイヤホンはガチ勢に向けた商品ではないのは誰でもわかりますよね。
この時代、利便性を考えたら有線ではなくワイヤレスイヤホンをほとんどの人が選ぶはず。なのに百円ショップには有線イヤホンのほうが圧倒的に種類も数も多いのは、すごく不思議じゃないですか?
いったいダイソーのマーケティング戦略はどうなっているのだろうか。
たとえば、Bluetoothイヤホンが主流になった今、わざわざ有線イヤホンを選ぶ理由って何だろう?
「音質がいいから」「遅延が少ないから」といった理由はあるにせよ、それを重視する人はすでに数千円〜数万円の製品を選んでいるはず。
それでもなお、ダイソーの店頭には有線イヤホンがずらりと並び、しかも“ハイレゾ対応”という言葉まで添えられている。
いったいダイソーのマーケティング戦略はどうなっているのだろうか。
もし、「気軽にハイレゾを体験しよう!」というノリで販売しているのだとしたらそれはそれで、なかなかの闇かもしれない。
「20kHz以上の音が再生できる=ハイレゾは高音質」なんて大ウソで実際には人間の耳では20kHz以上は聞き取ることが出来ません。
その違いを明確に聞き分けるのは難しいというのが現実。
つまりハイレゾは猫用です。ニャー =^・^=
再生環境や音源の質、聴く人の耳や経験値によっても変わるし、そもそもスマホ+安価なイヤホンでハイレゾの真価を体感するのは至難の業。
それでも「ハイレゾ対応」と書かれていれば、なんとなく“良さそう”に見える。
その心理を突いてくるあたり、ダイソーのマーケティングはやはり侮れない。
…おっと、誰か来たようだ。
仕事でワイヤレスイヤホンが壊れて、急にマイク付きのイヤホンが必要になったりしたときには便利なので一つ持っておくのはありですね。
最近は有線イヤホンがファッションとしてトレンドになってるみたいだしポータブルオーディオも流行らないかな。
終わり。
