
大好きなBUMPの楽曲が日本語版のエンドソングになったとのことなので観てきました。
起用された楽曲の「リボン」は、実はこの映画のために書き下ろされた新曲ではなく、2017年に発表された既存曲で当時はシングルとしてリリースされたものです。当時はスマホのCMソングにも起用されていたかな。
映画のために生まれたわけではないこの楽曲。それでも『星つなぎのエリオ』を観たとき、「リボン」が主題歌に選ばれたのは制作人の、BUMPの考えや世界観を理解し、合致したからだと思います。
ネタバレになるかもしれないのでネタバレ注意でお願いします。
“孤独に寄り添うファンタジー”という宇宙
あらすじ
ディズニー&ピクサーが贈る完全オリジナル映画『星つなぎのエリオ』は、孤独を抱える少年エリオが宇宙の仲間たちと出会い、自分らしさと居場所を見つけていく感動のSFアドベンチャー。
舞台は地球から遠く離れた宇宙の片隅。
主人公・エリオは地球でちょっと変わった子として周囲から距離を置かれていた少年。
ある日彼は偶然にも宇宙人と交信し、不思議な宇宙船に乗り込み、星々を巡る旅へと出発する。
そこで出会うのは、地球とは違う価値観を持つ仲間たちと、彼自身の心の奥に眠っていた何か。
この物語は宇宙を舞台にしながらも、実はとても地に足のついた感情の物語。
誰もが一度は感じたことのある「自分って何者なんだろう」とか「宇宙人はきっといる」という問いに、静かに、でも力強く寄り添ってくれる。
SNS時代の孤独との重なり
今の時代、誰かとすぐに連絡が取れること、知りたいことをすぐに調べられることは本当に便利だと思う。
僕自身、それをありがたいと感じているし、日々の生活の中で助けられている場面も多い。
でも、そんな便利さの中にいても、ふとした瞬間に孤独を感じることがあって、誰もがつながっているはずなのに、心のどこかが空っぽで、満たされない。
SNSを開いては、誰かの言葉や写真に触れてネットという名の宇宙を漂っているような
エリオの孤独は、そんな現代の見えない孤独と重なっていて、周囲に馴染めないと感じたこと、誰かに理解されたいのに、うまく言えなかったこと。星空の下に寝転がって、宇宙船が現れないかなとか。
そんな子供らしさ全開のエリオの気持ちを、僕ら大人はわかってしまうんだよね、経験してきたから。
そんな記憶がスクリーンの中で静かに呼び起こされ、無意識に共通点を探していました。
BUMP OF CHICKEN「リボン」というもう一つの宇宙
「そのままでいい」というメッセージの力
この映画の根底にあるのは、「変わらなくてもいい」「そのままの君でいい」という優しい肯定。
それは、BUMP OF CHICKENの「リボン」にも通じるものがあって、映画と音楽が見事に重なり合う瞬間でもあると思いました。
誰かに認められることよりも、自分自身を受け入れることの大切さ。
それを宇宙という広大な舞台で、静かに、でも確かに伝えてくれる作品でした。
”側にいることを選んで 今側にいるから 迷子じゃないんだ”
サビの歌詞。
ずっと一人ぼっちだったエリオが選んだ結末は、家族とともに生きること。
初めてできた友達とは、離れ離れになってしまう。
いろんな解釈があると思うけど、ここの”迷子じゃない”ってのは、選択に迷っていた彼が”家族とともに生きる”ことを決断したことにかけているんじゃなかろうか。
おわりに
『星つなぎのエリオ』は、宇宙を舞台にしたファンタジー。
誰かとわかり合うことの難しさ、でもそれでも誰かの側にいることの大切さ。
戦わずに解決しようしたり、相手を理解しようと奮闘するところが、ちびっこだった頃の自分と重なったりして目が離せなかった。
誰もが持っている自分という宇宙。誰も傷つけずに自分の居場所を見つけること、この作品は、そんな優しさに満ちた“宇宙”でした。
そして本編が終わった後の静寂から始まるギターのアルペジオ。
まるで、物語の余韻にそっと寄り添うように、音が静かに降ってくる。
BUMP OF CHICKENの「リボン」は、星空のようにキラキラと透き通る音楽が優しくて、僕も大好きな楽曲です。
心の中に、そっと“リボン”が結ばれたような気がしました。
終わりー。
