

正直に言うと、最初は見た目と中国製ってところで完全に食わず嫌いでした。
見た瞬間HIFIMANと分かるゴツさが気に入らなくてずっと候補外としてスルーしていたのが本音です。
でもある時、友人とヘッドホンのブラインドテストでたまたま聴いたEdition XSの音に衝撃。めちゃめちゃよかったんですよこれが。偏見は良くないですね、少し恥ずかしく感じたほどです。何事も経験ということで。
この記事では、そんな“食わず嫌い”から始まったEdition XSとの出会いを、実際の使用感や音質レビューを交えながら、率直にお伝えしていきます。
平面磁界駆動の入り口として理想的な一台です。この記事では、技術的な特徴から実際の使い勝手、音質の印象や感じたことなどを書いていきますのでよかったら参考にしてみてください。
Edition XSとは?
HIFIMAN Edition XSは、平面磁界型ドライバーを搭載したオープン型ヘッドホン。上位モデル「Ananda」や「Arya」の技術を継承しつつ、価格を抑えたニューモデルです。
主なスペック
項目 | 内容 |
---|---|
型式 | オープン型・平面磁界型 |
ドライバー | Stealth Magnet搭載 平面磁界型 |
インピーダンス | 18Ω |
感度 | 92dB |
重量 | 約405g(実測) |
ケーブル | 着脱式(3.5mm両出し) |
価格帯 | 約6〜7万円(国内流通) |
特徴ポイント
- Stealth Magnet技術:磁気構造を最適化し、音の歪みを低減。よりクリアで自然な音像を実現。
- 大型イヤーパッド:楕円形で耳をすっぽり覆う設計。側圧も控えめで快適。
- 鳴らしやすさ:平面型にしては比較的駆動しやすく、エントリークラスのアンプでも十分な音質が得られる。
平面磁界型とは?ダイナミック型との違い
ヘッドホンの世界には大きく分けて「ダイナミック型」と「平面磁界型(Planar Magnetic)」という2つの駆動方式があります。
Edition XSは平面磁界型を採用しており、これが音質や使い勝手に大きな影響を与えています。
駆動方式の違い
項目 | ダイナミック型 | 平面磁界型 |
---|---|---|
構造 | ボイスコイル+振動板 | 薄膜振動板+磁界 |
駆動力 | 比較的鳴らしやすい | 駆動力が必要(アンプ推奨) |
音の傾向 | パンチ感・低音の厚み | フラット・繊細・空間表現が得意 |
音漏れ | 密閉型が多く漏れにくい | オープン型が多く漏れやすい |
サイズ | コンパクトなものが多い | 大型で重めの傾向 |
平面磁界型の魅力
- 繊細な音の描写:振動板全体が均一に動くため、微細なニュアンスまで再現可能。
- 広い空間表現:音の定位や奥行きが自然で、ライブ音源やクラシックとの相性が抜群。
- 歪みの少なさ:Stealth Magnetなどの技術により、不要な反射や歪みが抑えられている。
注意点
- 駆動力が必要と言われている。スマホ直挿しで使ってみましたが、かなりの爆音にしなければ問題なく音量は取れました。
- サイズと重量は注意。デカくて約400gと重め。装着感は良好だが、持ち運びには不向き。
音質レビュー!モニターにもおすすめの高解像度ヘッドホン
音の傾向はフラットで”大人しい音”という印象ですが低域に独特な圧があるのでその圧に合わせて音量を合わせると相対的に中音域が引っ込んで聞こえるような感じはあります。ボーカルの存在感は控えめです。
高音域は澄み切っていて、シンバルの余韻や空気感まで丁寧に再現されるほど解像度は非常に高いのでミックスや音作りとの相性は良さそう。リバーブの切れ際や、スネアのゴーストまでよーく見えます。
低音に関しては量感こそありませんが、輪郭が明瞭でキックやベースのアタックがしっかりと感じられます。
装着感はデカゴツですが軽量かつ側圧は弱めなので快適です。ヘッドバンドはメモリ一つ分でちょうどいいサイズでした。
ハウジングは無いに等しいのでめちゃくちゃ音が漏れます。ほんとに小型スピーカーくらい漏れます。手でふさぐと何を聴いているか分からなくなるくらいこもった音になるのも平面磁界型の特徴みたいですね。
価格帯を考えれば驚くほどのパフォーマンスを発揮してくれるモデルでDTM用途はもちろん、音楽鑑賞においても、空間の広がりや音の質感をじっくり味わいたい人にとって、非常に魅力的ですね。
兄弟機も聴いてみました!Edition XS vs Sundara vs Ananda
HIFIMANは平面磁界型ヘッドホンの名門ブランド。中でも「Sundara」「Edition XS」「Ananda」は価格帯も性能も異なる三兄弟のような存在です。
比較表
モデル名 | 特徴 | 音質傾向 | 実用性 | 価格帯(参考) |
---|---|---|---|---|
Sundara | エントリー向け平面型 | 中域が滑らかで聴きやすい | 軽量・鳴らしやすい | 約4〜5万円 |
Edition XS | 中級者向けのバランス型 | 空間表現と解像度の両立 | やや重め・アンプ推奨 | 約6〜7万円 |
Ananda | 上級者向けの高解像度モデル | 高域の伸びと空間の広さ | 大型・駆動力必要 | 約10万円前後 |
発売日で見る世代の違い
モデル名 | 発売日 | 世代感・位置づけ |
---|---|---|
Sundara | 2018年5月25日 | 初期の定番モデル |
Ananda | 2018年8月29日 | 中上級者向けの定番 |
Edition XS | 2022年2月11日 | 最新世代・後継モデル |
Sundara:コスパ重視のエントリー機
- 軽量で装着感が良く、長時間でも疲れにくい。
- 中域が豊かで、ボーカルやアコースティックに強み。
- 鳴らしやすく、ポータブル環境でも使いやすい。
初めての平面磁界型におすすめ。
音の広がりよりまとまりを重視する人向け。
Edition XS:空間と実用性のバランス型
- 空間表現と解像度のバランスが絶妙。
- Stealth Magnet搭載で歪みが少なく、自然な音像。
- 鳴らしやすさと音質の両立で、長く使える“完成形”。
他の2機種と違うのは、圧倒的フラットで原音再現力が高いところ。
これだけモニター用なんじゃないかと思わされる。
Ananda:空間表現の頂点
- Edition XSよりさらに広い音場と高域の伸び。
- 音の“粒立ち”が明確で、分析的なリスニングに向く。
- サイズも大きく、駆動力も必要。環境を選ぶ。
心地いいチューニングでずっと聴いていられる。
高解像度・空間重視の上級者向け。
どれを選ぶべき?
- 初めての平面磁界型 → Sundara
- 実用性と音質の両立 → Edition XS
- 空間と解像度を極めたい → Ananda
まとめ:食わず嫌いはもったいないね。
HIFIMANのヘッドホン、かなり完成度高いです。全機種聞いてみましたがどれも優秀で恐れ入りました。2022年に登場した本モデルは、SundaraやAnandaといった旧世代機種の弱点を補って高い解像度とフラットな音質が気持ちいいヘッドホンです。DTMのメインヘッドホンとしても問題なく使えると思います。
DTM用の平面磁界型ヘッドホンがあまりないのはなぜなのだろうか。
技術面では、Stealth Magnet構造と超薄型振動板(supernano diaphragm)を採用した歪みの少ないクリアな音像と高い応答性は、SundaraやAnandaには搭載されていない最新技術で末永く楽しめる一台だと思います。
価格帯も中間に位置していて、価格的にも手が出しやすく次のステップに進むための理想的な選択肢でもあるかなと思います。
初めての平面磁界型でしたが高い解像度と分離感そしてダイナミック型では得られない、まるで耳にスピーカーがくっ付いているみたいな独特の音場感にハマってしまいました。
リケーブルもいじりがいがありそうでワクワクしますね。