
音楽を聴く時間が、ただの「再生」から「体験」に変わる瞬間ってありますよね。
普段はブログでオーディオ機器やガジェットのレビューを書いていますが、今回は僕の相棒である開放型ヘッドホン「DT990 PRO」について語っていきます。
DT990 PROは、ベイヤーダイナミックの定番モニターヘッドホン。音楽制作の現場でも使われることが多く、リスニング用途でも「音場の広さ」や「高域の抜け感」で評価されています。とはいえ、開放型というだけで敬遠してしまう人もいるかもしれません。
そこで今回は、密閉型との違いや、実際に使ってみて感じたメリット・注意点を、初心者にもわかりやすく紹介していきます。
「開放型ってどうなの?」と気になっている方の参考になれば嬉しいです。
製品概要:DT990 PROとは
ベイヤーダイナミックのDT990 PROは、開放型モニターヘッドホンの定番モデル。音楽制作の現場でも使われる一方で、リスニング用途でも「音場の広さ」や「高域の抜け感」で根強い人気を誇る一台です。
主なスペック一覧
項目 | 内容 |
---|---|
タイプ | 開放型ダイナミックヘッドホン |
インピーダンス | 250Ω(※アンプ推奨) |
周波数特性 | 5Hz〜35,000Hz |
感度 | 約96dB |
ケーブル長 | 約3m(カールコード) |
プラグ | 3.5mmステレオ+6.3mm変換付き |
重量(ケーブル除く) | 約250g |
サウンドハウス価格 | ¥28,800(税込) |
最近、値上がりしてしまったのは残念だけど、それでも価値は十分あると思います。
対象ユーザー
- 音楽制作・ミックス用途のモニター志向ユーザー
- 広い音場でクラシックや映画音楽を楽しみたいリスナー
- 密閉型から開放型にステップアップしたい初心者
DT990 PROは高域が強めで、音の分離や空間表現に優れているため、定位感を重視する人には特におすすめ。ただし、遮音性はほぼゼロなので、静かな環境での使用が前提です。
外観・ビルドクオリティ
全体的に「業務用らしい堅牢さ」があり、長く使える安心感あり
丸みのあるハウジングに、ベロア素材のイヤーパッドが印象的
側圧はやや強めだが、パッドの柔らかさで快適性は高い
ケーブルは片出しで取り回ししやすいが、着脱不可
装着感・使い心地:長時間使ってみて
DT990 PROを手に取ってまず驚いたのはイヤーパッドの柔らかさ。ベロア素材のパッドは肌触りが優しく、側圧もしっかりしているのに痛みを感じにくい設計です。
僕自身、メガネをかけた状態で3〜4時間ほど使ってみましたがこめかみが痛くなることもなく快適に過ごせました。
メガネとの相性
- 側圧はやや強めですが、ベロアパッドが圧力を分散してくれる
- メガネのフレームが細めなら、ほぼ気にならないレベル
- 長時間使用でも「圧迫感」より「安定感」を感じる設計
軽さとバランス
- 本体重量は約250g(ケーブル除く)で、見た目より軽く感じる
- 頭頂部のヘッドバンドもクッション性があり、圧迫感なし
- 長時間使っても首や肩に負担がかかりにくい
ケーブルの取り回し
- 3mのカールコードはやや長めだけど、デスク周りでは意外と便利
- 片出しケーブルなので、動作の邪魔になりにくい
- ケーブルは着脱不可なので、断線には注意が必要
実体験:長時間使ってみて
僕の環境ではDT990 PROを使って3時間ほど映画音楽を聴いたりブログの執筆中にBGMとして流したりしてみました。
結果として「耳が蒸れる」「頭が痛くなる」といった不快感はほぼゼロ。
むしろ開放型ならではの空気感が心地よく集中力が持続する感覚すらありました。
音質レビュー:開放型の魅力と弱点
DT990 PROの音をひとことで表すなら「広がりと鋭さの共存」。
開放型ならではの空間表現に加えて高域の主張が強く音楽の細部まで見通せるような感覚があります。
ただし、すべてのジャンルやリスナーに合うわけではないので実際に使ってみて感じたことを正直に書いてみます。
高域:刺さる?伸びる?
DT990 PROの高域はかなり前に出てくる印象です。
シンバルやハイハットの粒立ちは非常に細かく、空気感まで感じ取れるほど。
ただし、音源によっては「刺さる」と感じることもあり、特にボーカルが強調されたJ-POPやアニソンでは耳に痛いと感じる人もいるかもしれません。
僕の環境(Babyface Pro FS使用)では音の輪郭がくっきりと浮かび上がり、細部まではっきりと聴き取れます。アンプなしでPC直挿しだとややキツく感じる場面も。
中域:ボーカルの距離感と分離
中域はやや引き気味で、ボーカルが少し遠くに感じることがあります。
これは開放型の特性でもあり、音場の広さと引き換えに「密度感」が薄れる印象。
ただし、楽器の分離は非常に良く、ギターやピアノの位置がはっきりとわかるので音楽を“構造”として聴きたい人には向いています。
ボーカル重視の人には同価格帯ではHD599のようなナチュラルな中域の方が好まれるかも。
低域:量感 vs 解像度
DT990 PROの低域は控えめですが解像度は高め。ズンズン響くタイプではなく、ベースラインの輪郭がしっかり見えるタイプです。
EDMやヒップホップなど、低音重視のジャンルには物足りなさを感じるかもしれませんが、クラシックやジャズではむしろこの引き締まった低域が心地よく感じられます。
僕はSONYのMDR-MV1と比較してみましたがDT990 PROの方が低域の「見え方」はシャープ。ただし、量感ではMDR-MV1に軍配。
音場・定位:開放型ならではの広がり
このヘッドホンの最大の魅力は、やはり音場の広さ。左右だけでなく、前後・上下にも空間が広がるような感覚があり、映画音楽やライブ音源では「その場にいるような没入感」が得られます。
定位も正確で音の出どころがはっきりわかるのでミックス作業にも向いています。特にクラシックのホール録音では空気の振動まで感じるようなリアルさがありました。
使用環境:DAC/AMPの有無
DT990 PROは250Ωという高インピーダンスモデルなので一般的には「アンプなしだと音量が取りづらい」「音質が劣化する」と言われています。
ただ、僕の環境(iPhone SE 第3世代)では直挿しでも十分な音量は確保できました。
とはいえ、やはりDACを通したほうが音の輪郭や空間表現がより明瞭になり、DT990 PROの実力をしっかり引き出せると感じます。
まとめ:DT990 PROは誰におすすめ?
DT990 PROは、開放型ヘッドホンの魅力をしっかり味わえる一本です。
音楽制作の入り口に立ったばかりの人や広い音場でじっくり音楽を楽しみたいリスナーには特におすすめ。音の分離や定位が優れているのでミックスや分析的なリスニングにも向いています。
ただし、高域の主張が強めなので刺さる音が苦手な人は注意が必要。アンプやDACとの組み合わせ次第で印象は変わるので環境に合わせたチューニングが鍵になります。
「最初の開放型」として選ぶには価格・性能・耐久性のバランスが非常に良く、長く付き合える相棒になるはずです。
密閉型とは違う“空気の抜け感”や“音の広がり”を体験したい人には、ぜひ一度試してみてほしい一本です。